日雇いアルバイトの鉄則として思うに、2日続けて同じ仕事を入れないということを最近痛感している訳です。1日なら頑張るしかないな、なんて気持ちにもな れるし、やってて楽しければまた改めてお願いすれば良いし、嫌なら次からやらなければ良いだけだし。
なんて思いながら訪れた場所はパン工場。方々へと散っていくパン達を箱別に分け、数を確認し、袋を丸めて他の場所へと運ぶ、完全な流れ作業。機械に囲まれ て、人間までもが機械的に同じ作業を延々繰り返す。少し異様な雰囲気も漂う素敵に恐ろしい場所。
棚に並ぶ商品の数々を、指定された箱に指定された数だけ入れる人、ちゃんと指定された数だけ入っているかを確認する人、袋を丸める人、使い終わった箱を綺 麗にしてまたベルトに乗せる人、そして、みんなの仕事ぶりを遠くから監視しつつ、機械のトラブル等に対応しようとして、実際は何も出来ないおばさん。
俺は、そんな永久運動の一つ、「確認をする人」になり。
指定された数だけ入れられて流れて来た箱の中身をチェックし、その数を声に出して、隣りにいる人に伝える。隣りにいる人は、言うなればパートナー、箱の番 号とその箱に入る予定のパンの数の書かれたチェック表を持っていて、俺の声と表の数を照らし合わせ、合っていればマルをふり、間違っていればペケを打つ 人。
誰も彼もが何も話さず黙々と作業をしている中で俺だけ、大きな声を出す時なんて歌を歌う時くらいしかないというのに、周りは誰も喋っていないというのに、 大きな声で「いち!」「にー!」とか、ひたすらに喋り続けること8時間。そりゃ喉も渋くなるって話。
その日初めてそのパン工場に足を踏み入れたのは、俺ともう一人の二人だけ。それ以外の人間は既に何回か経験している模様。だからなのか何なのか、これと いった説明を受けることもなくいきなり現場に送り込まれた2人。休憩時間に吸い寄せられる様に集まった新人2人が話をしてみると、何ともな奇跡が発生、住 んでいる所が恐ろしく近所だったのでありました。
これも何かの縁なんだろうな、なんて想いもありながら、どんどん仲良くなっていったりもしながら、それでもさよならをするまで連絡先の交換なんてことはせ ず。この曜日のこの時間辺り、よくここにいるから、なんて話をして、そのままさよならをした訳であります。
交換したくなかった訳じゃない。きっとまた必ず出会うことがあるだろうし、なんて、素敵な再会をお互い約束して終わったのでありました。
とはいえ、会う場所は近所にあるコンビニだったりもして。
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