午前0時。言ってみれば夜中って奴。仕事先で仲良くしている仲間から連絡が入り、俺は迎えに来た仲間の車へと乗り込む。目指すは沼津、堤防辺り。
あいにくの雨と最悪の体調。それでも何週間も前から作戦を練っていた事と、次の休みがいつ合うやら、あてのない未定に振り回されるのはごめんだという事 と。気付けば荷物の中に幾つかの薬。そうまでして行くべきだったのか、いや、行くべきだったのです。
車を走らせる事4時間程。若干の迷子もあったりしながら、やって参りました沼津港。天気のせいなのか時間のせいなのか、人はまるでいない中、俺は仲間と準 備を始める。遂に始まる初めての感覚。しなる竿、彼方へと飛んで行くルアー、両腕に伝わる魚の躍動感。それら全てが、これからの何時間かに凝縮されて俺の 五感をビリビリと刺激するのだ。
…さて現実は、ルアーは岩っぺりに引っ掛かって真っ先にリリース。うきも重りも、つけては飛んで行きつけては飛んで行き、糸の結び方だけがどんどんと上達 していく結末。
こんなもんなのか、釣りってのは。
雨に打たれているだけにどんどんと体調は悪化していくし、一向に魚の気配はない。どれくらいかしてやって来た地元の匠は、6〜7mはある竿を悠々とさば く。「初心者向け」なんてことで購入した俺の竿なんてまるで歯が立たない。子供のおもちゃにすら見えなくなって来た。
これではいけない、このままではもう二度と釣りに興味を持たなくなってしまう。
そう考えた俺は、一度引き上げ地元の釣具店へと足を運び。容量は掴んだ。それに伴う代償はそこそこのものであったけれども、今一度仕掛けをちゃんと組み直 して、舞台に立つ事にしよう、そう思い立ったのであります。
PR