来るはずのない人からの手紙。
ふと封を開けてみるとそこには何とも懐かしい癖のある字が小さく肩を並べていて。
「さようなら」
そう書かれた小さな文字は今にも壊れてしまいそうなくらいに震えていて。
もう大丈夫だよ。僕がしっかりと受け取った。ここまでよく頑張ったね。誰にも言葉にしてもらえなくて、ずっとその封筒の中でひとりぼっちだったんだね。
もう大丈夫だよ。これから君は自由だ。どこへでも好きなところへ羽ばたくといい。
別のところで君は、また口に出してもらえないかも知れない。そうしてまた紙の上に置かれて、封をされ、80番のギザギザと×の印と一緒に、今度はどこへ飛 んでいくんだろう。
行くところがなくなってしまったら、また僕のところへおいで。僕はもう慣れっこ。何も心配はいらないよ。
どうして君はにじんでいるんだい?どうして君はぼやけて見えるんだい?
でももう大丈夫。君が泣きたい分まで僕がいっぱい泣いてあげるよ。
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