70年代GSブーム、風というグループがあったのは皆様ご存知の方も多いはず。
自分はそんなGS時代に青春を歩んだ羨ましい両親を持ち。
初めてギターを手にしたのは13になる歳の秋。同級生が我が家に足を運んでくれた時、おもむろにギターを抱え、ハードコアなバンドのイントロをアルペジオ でさらっと弾いてのけたのがきっかけ。エレキギターなんて我が家にはなく、両親の青春の象徴を自分と同じ世代の人間が弾きこなす。そんな現実に衝撃を受け たのは今でも忘れる事の出来ない記憶。
周りが今時の音楽に手を付け始める高校時代。自分は自宅にあった「懐かしのフォークソング大全集」とアコギがお出迎え。当時の自分はフォークをやりたかっ たのか?と思い返すと、確実に答えはNo。「ギターに変わりないだろ」な父親の言葉はそれ以上どうなる訳でもなく、ひたすらに吉田拓郎を口ずさんでいた。
そんなある時に出会ったのが「風」。22歳の別れという曲に心を打たれ、独り善がりに切ない気持ちを満喫していた頃、自宅にあった風のアルバム(カセット テープに吹き込まれていたもの)を発見。昔から変わらない母親の字で書かれた曲名の、一曲目に記されていたのは「ささやかなこの人生」。当時まだ四半世紀 も人生を味わっていないガキンチョロが、何故か痛く感動し。
あれからどれだけ経ったろう。部屋にはエレキギターが2本も3本も転がり。バンド活動をしたいんだ、とエレキを抱え、大学時代に築いた少しの伝手は、地元 に戻る時に途絶えた様なもの。地元で組んだバンドは仲違いの末に解散。学生時分に月1万くらいのローンを2年近く組んで勝ったえんじ色のギターも、ギター からベースに転向した友人から「誕生日プレゼントに」と貰ったアイボリーのギターも、今は肩を並べてのんびりお休み。初めて手にしたアコギを抱えて、今は 細々とライブ展開。何とも悪戯な奴。さんざエレキが良いと思っていた自分だったっていうのに。
ギタ−1本にしたってこれだけの歩み、諦めたくなる散々な生活、光の差し込んで来ない明日。そんな人生よりも、もっとドラマチックな人生を歩んできたであ ろう伊勢さんが、ささやかだっていうんだから。
そこまで辿り着けていない自分は、まだまだ人生未熟者。この世でのつとめを終える時、ささやかだったと思えるくらいにまで、もっと成長したいのです。
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