何処で見たのか自分の吸っている煙草の「ブラックエディション」なるものが登場したということで早速購入。味は変わらないと誰かが言ったのか、それとも自 分がそう感じたのか、とにかく体はスッとそれを受け入れ。
…などと、こんなところで喫煙の斡旋などするつもりはないのだけれど、今回は報告ということで一応。
大学生活が始まった二年目の夏。時は夏期休業期間。僕は一日をファミレスとビリヤード場で過ごした期間であり。
一年目を何とか終え、二年目にもなると何とか話をしてくれる人も何人か出て来て。地元埼玉、現在愛知。ただでさえ少ない友達、そうなりゃ名古屋に友達なん ている訳もなく。
そんな中、一人の先輩とその知り合いの方がやたらと僕に興味を持ってくれ。聞くと、僕にビリヤードの指導をしろと言う話。完全我流のこんなどうしようもな い奴に目を付けるなんてどうかしてる、そうは思ったものの、どうかしてないまともな人間はこんな僕に話し掛けてなんかこないよな、なんて思うと、先輩方の 奇行も納得のいくものになり。
かくして始まったビリヤードレッスン。24時間営業しているビリヤード屋というものが辺りにはなく、車を走らせ隣町まで走る事2〜30分。辿り着いた場所 はカラオケ屋も併設している最近出来たばかりの店。ビリヤード屋ではないが、新しいということもあって台の状態も悪くない。台がグシャグシャでは上手くな るものも上手くならない、結局技術を超越するにはそれなりのアイテムが必要となってくるというのがスポーツの常ではあるが、素人の僕が台にこだわるくらい 罪はないだろう。
しかもその店、カラオケ屋を併設している事もあって「オールナイト料金」なるものも存在し。相場1時間5〜600円のところ、0〜8時尽き放題で1500 円程度だと言うからたまったもんじゃない。
僕らの一日はこうだ。ある朝、それぞれアルバイトをしに方々散り、夕方頃に帰って来たらひとっ風呂浴びる。3人が揃える時間は日にちが変わるよりもっと前 の時間。皆で集まってあぁでもないこうでもないどうでも良い話をしながら時間を潰し、0時に近くなると3人はその店へ。8時までビリヤードをした後、3人 でファミレスに行き、モーニングビュッフェなるシステムの虜になり、のんびり疲れを取ったらば、アルバイトをしに方々散り。これの繰り返し。
そんな中、あるビュッフェ中での出来事。先輩が机の上に置いていた煙草をおもむろに1本取り出し、口にくわえて吸うフリをし。「こんな感じですよね」なん て話したところ、「もうその煙草はいらない、口つけたから」なんて言われてしまって。別に冷たく言い放った訳ではない。からかってやろうと放たれた言葉 だったのは重々承知だったのだが、僕は何故かそのとき不意に側にあったライターを手に取り、くわえた煙草に火をつけたのだった。
「ゲホってならないんですけど」
僕の幼い頃から居間で父親が煙草を吸っていたとなれば当然副流煙に侵されていてもおかしくない話。人の云うゲホゲホに僕は出会えなかったのだ。
すると先輩は僕を助手席に乗せコンビニまでひとっ走り。先輩の吸っていた煙草は優しい煙草だったらしく、先輩は僕に強めの煙草を買ってくれ。
改めてひと吸い。
喉から肺にかけて、次々にギュッと引き締められる様な感覚、それでも決してむせる事はなかったのだけれども、何とも斬新な感覚に僕は言葉を失い。
「へぇ」
…実際どうでも良かったのかも知れない。
今でも煙草は吸っており、ビリヤード屋に行く時はまず間違いなく持っていく煙草。今まで大した理由もなく願掛け程度に禁煙をしていた事もあったが、いつか もし本当の本当に煙草をやめると決めた日が来るのなら、最後のひと吸いはビリヤード屋でありたいものだ。
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