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辿り着く先は一体 何処になるのか

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  • 今宵はどこへ行こうかしら…
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    KC3O0353.jpg



    その昔、実家の玄関の前には門がついてた。


    まだ幼かった頃の話。
    ある日僕は偶然玄関の前にある黒い鉄製の塊を見つけた。
    雨に打たれ何年も放置されていたそれは錆びていて、
    ところどころ赤茶色に剥げていた。
    どうやら実家の門番役をしていた門らしい。

    開閉するだけのスペースはなく、
    それを遮る様に自転車やバイクが置かれていた。

    思い立った僕は、
    置かれている自転車とバイクを動かし、
    門を閉めてみようと試みた。

    悲鳴の様な音をあげ、
    門はギィギィと閉まり始める。
    黒く塗装されたペンキが、
    赤茶色の錆と一緒になってボロボロと地面に落ちていく。

    やがてしっかりとあるべき位置に落ち着いた門は、
    それはもうひどい有り様だったのだが、
    当時の僕はひどく喜んだものだった。
    決して大きな家ではなかったが、
    何だかいつもよりも立派に見えた。
    やはり門ってものはこうでなくては。


    時は過ぎ、実家では両親が2人とも車を使う生活が始まり。
    車を置くスペースが必要だ、という事で、
    2台目は家の前に置く事に。

    それまで自転車と物置小屋のあったスペースをすっかり奇麗にし、
    家を囲んでいたブロック塀も取り壊される事となった。

    門を支える番の取り付けられていたブロック塀。
    必然的になくなってしまった。
    残されたもう片方の門は、
    片方しかないのでは役目を果たせる訳もなく、
    いつの間にか姿を消していた。

    やがて、白くならされたスペースには、
    母親の使う車がに置かれる様になった。



    「どうぞ、いらしてください」



    そう言われ、僕は仕事先から託された品物を先方の家へと運ぶ。

    呼び鈴を押した僕と先方の玄関までの数メートルを、
    黒や白や灰色の門が、
    勇ましい態度でしっかりと番を張っている。

    ノブを握られ「キィ」とだけ鳴いて、
    門は優しく僕を受け入れる。


    あの日泣いてくれたあの音は、
    痛みから来るものだったのか。
    喜びから来るものだったのか。


    そんな事を思いながら、
    今日も僕は優しく門を開ける。

    冬はもうすぐ。
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