だからといって何が始まる訳じゃない。
むしろ始まった瞬間が終わりだったりもするのだから。
それでも終わらせない為には、と考え考え、いつまで経っても始められず。
いよいよ気づいて必至にもがき、もがきもがいて、そんな時にはもう終わっていたりもする。
だからどうしたと言うんだ。
過去は、思い出になってから振り返れば良いのだ。

といって何が終わる訳でもなし。
思い出があるから、人は強くなれる。それだって別に構わない。
生きとし生ける全てのものへ。
望みを捨てられるのが一番の望みだったりもするのだ。
後にも先にも進めない。それがまた生を感じさせるのだ。
例えば世界は僕を必要としているから
僕は生きていなければならない
それはとても小さな役割でしかないけれど
僕にしか出来ない事だから
その足で
その足で
まずは一歩を
踏み出してみると良い
目を閉じた後に映る
無数の輪の中で
別れ告げた後に映る真っ白の中で
例えば世界は僕を必要としていないから
僕は生きていかなければならない
それはとても難しくて容易で
けれど誰もがやらなければならない事

いずれ人は天に召され、次は草木か動物か。
過去の記憶も辿れなくなって、また地上へと舞い戻る。
時々ふと空を見上げるのは、住んでたところだったから。
黒い猫が屋根を伝い、お構いもなしにひた歩く。
ひた、ひた歩く。
その足で
その足で
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